結論:
60歳時点で「買いたければ買える」「実家に帰れる」「賃貸を続けられる」——この3つの選択肢を持てる状態にしておきたい。どれを選ぶかは、60歳の自分が決める。
住まいについて、真剣に考え始めた
55歳になり、老後のお金についてはかなり整理できてきた。
資産のシミュレーションもした。退職後の家計も試算した。iDeCoの受け取り方も調べた。
でも、住まいについてだけは、ずっと後回しにしていた。
今の賃貸マンションに特に不満はない。家賃も生活費の中に織り込み済みだ。「まあ、このままでいいか」と思っていた。
それが変わったのは、田舎に住む両親の話を聞いたことがきっかけだった。
父は70代後半、母も同じ年代。「そろそろ家のことも考えてほしい」と、遠回しに言われた。
そのとき初めて、自分の老後の住まいと、親の老いが、同じ地平にあることを実感した。
老後に賃貸を続けることのリスク
今は賃貸に住んでいて、とくに不自由はない。でも、将来も同じように借りられるかどうかは別の話だ。
高齢になると、賃貸の審査が通りにくくなる。
独身・無職・高齢——この3つが重なると、家主から敬遠されやすいのが現実だ。孤独死のリスクを理由に、入居を断るケースも少なくない。
今は「賃貸を選んでいる」状態だが、歳を取るにつれて「賃貸しか選べない」状態になりうる。
そして、そのときになって初めて「買っておけばよかった」と思っても、退職後に住宅ローンを組むのは難しい。
賃貸は「選んでいる」うちは快適で、「選べなくなった」瞬間に詰む。
それが怖い。
選択肢① 賃貸を続ける
賃貸の最大のメリットは、身軽さだ。
固定資産税もない。修繕費も大家負担。資産を不動産に縛られず、流動性を保てる。老後の生活拠点が変わっても、すぐに動ける。
ただし「選び続けられる」条件が必要だ。
- 高齢者向けの物件・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)への移行
- 保証会社・身元保証サービスの活用
- 貯蓄が十分にあること(家賃を払い続けられる資産があると示せること)
特に最後の点は大きい。資産があれば、審査上の信頼度が上がる。
「お金がないから賃貸」ではなく、「お金があるから賃貸を選んでいる」という状態でいること。これが条件だと思っている。
選択肢② 購入(戸建てorマンション)
60歳時点で現金購入できるかどうか、ざっくり試算してみた。
退職金は約800万円。資産は約5000万円。
愛知県内で、駅から少し離れた中古マンションや戸建てなら、1500〜2500万円程度で選択肢がある。退職金だけでも頭金として十分で、資産を大きく崩さずに購入できる可能性はある。
ローンを組む場合は60歳退職後だと厳しいが、退職前の59歳までに購入してローンを組むという手もある。
購入すれば、老後に「住む場所を追い出される」リスクはなくなる。持ち家は心理的な安心感が大きい。
ただし、一人暮らし用の家に数千万円を投じることへの迷いもある。修繕・管理の手間も、歳を取るにつれて負担になるかもしれない。
選択肢③ 田舎の実家に戻る・親と同居
これが、最近一番リアルに浮かびあがってきた選択肢だ。
両親はまだ元気だが、年齢を考えると、いつかは介護の問題が出てくる。そのとき「遠くに住んでいる独身の子ども」として関わるのか、「近くにいる存在」として関わるのか。
今すぐ決断する話ではないが、「帰れる家がある」という事実は、老後のセーフティネットとして非常に大きい。住居費がほぼゼロになる。固定費が一気に下がる。
一方で、都市部の利便性は失われる。医療・交通・生活インフラの問題もある。
それでも、「実家という選択肢を残しておく」ことは、今から意識しておきたいと思っている。
3つの選択肢を比較する
| 賃貸継続 | 購入 | 実家・同居 | |
|---|---|---|---|
| 住居費 | 毎月かかる | 購入後は減る | ほぼゼロ |
| 自由度 | 高い | やや低い | 低い |
| リスク | 高齢審査 | 管理・修繕 | 介護・関係性 |
| 向いている状況 | 資産十分・身軽でいたい | 定住・安心感重視 | 親の老い・コスト重視 |
どれが正解、ということはない。大事なのは、60歳のときに「どれでも選べる」状態にしておくことだと思っている。
今の私の考え
結論は、まだ出ていない。
ただ、今から意識していることが一つある。
「買いたいと思ったときに、買える状態でいること。」
退職後に住宅ローンが組みにくくなることを考えると、購入を検討するなら退職前が現実的だ。資産を十分に保つこと、退職時期の設計を丁寧にすること。そのうえで、60歳の自分が改めて判断する。
実家の選択肢については、親ともう少し話をしてみようと思っている。「老後の拠点」という重い話を、もう少し自然にできる関係性を作っておくことが、今できる準備かもしれない。
まとめ|60歳で”選べる状態”を目指す
- 老後に賃貸を「選び続けられる」には、十分な資産が前提になる
- 購入を検討するなら、退職前の59歳までが現実的なタイムライン
- 実家・同居は住居費ゼロという強力なカードだが、介護・生活環境も含めて考える必要がある
- 今の目標は「答えを出すこと」より「60歳時点で3つの選択肢を持てる状態にしておくこと」
住まいの問題は、お金だけじゃない。
親の老い、自分の老い、どこで誰とどう暮らすか。
55歳になって、そういうことを静かに考えるようになった。
この記事を書いた人:55歳・資産約5000万円・60歳退職を目指す会社員(愛知県在住・独身)。感覚ではなく数字で老後を考えるブログ「55歳から整える資産設計」を運営中。


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