円安が退職計画を直撃する?外貨資産の「恩恵」と「リスク」を整理した

前回の記事では、老後の住まいについて賃貸・購入・実家帰還の3択を比較しました。

今回は、もう少し投資寄りの話です。

2026年6月現在、ドル円は約160円台で推移しています。

2022年初頭は114円だったので、約4年半で46円も円安が進んだことになります。

「円安は外貨資産を持っていれば有利なはず」と思っていましたが、よく考えると退職後の生活費という観点では話が変わってくると気づきました。

今回は、円安が退職計画に与える「恩恵」と「リスク」を整理してみます。

  • 外貨資産(QQQや米国ETF)を持っているが円安の影響がよくわからない
  • 退職後の生活費と為替の関係が気になっている
  • 外貨資産の比率をどう考えるか知りたい

という方の参考になればうれしいです。

前提条件

今回も、これまでの記事と同じ前提で考えます。

  • 年齢:55歳(退職時60歳を想定)
  • 退職前の年収:約500万円
  • 資産:約5,000万円
  • 独身(配偶者なし)
  • 愛知県在住

現在の為替状況

2026年6月現在、ドル円は159〜160円台で推移しています。

推移をざっくり振り返ると:

  • 2022年初頭:114円
  • 2024年夏:161円台(一時的な円安ピーク)
  • 2025年4月:140円(円高方向に戻す)
  • 2026年現在:160円近辺(再び円安水準)

円安・円高を繰り返しながら、じわじわと「安い円」の時代が続いています。

円安が外貨資産にもたらす「恩恵」

QQQなどの米国ETFを持っていると、円安局面では円換算の評価額が増えるというメリットがあります。

わかりやすい例があります。

2022年1〜5月、S&P500はドル建てでマイナス18.6%という厳しい下落を経験しました。

ところが同期間、為替ヘッジなしの円換算ではマイナス9.93%に留まりました。

👉 円安効果で、損失がほぼ半分に圧縮されたのです。

ドル建て資産を持っておくと、相場が下がっても円安が緩衝材になる。

これは、純粋に円資産だけ持っている場合には得られないメリットです。

円安が退職後の「生活費」にもたらす「リスク」

ところが、別の角度から見ると話が変わります。

円安は輸入コストを直撃し、生活費の上昇につながります。

消費者物価指数(2020年=100)の推移:

  • 2022年:102.3(前年比 +2.5%)
  • 2023年:105.6(前年比 +3.2%)
  • 2024年:108.5(前年比 +2.7%)
  • 2025年:111.9(前年比 +3.2%)

2020年比で約12%上昇しています。

正直に言うと、この数字を見て少し驚きました。

「月22万円で生活できる」と試算していましたが、5年前と比べると実質的に2〜3万円分の購買力が落ちている計算になります。

👉 円安は外貨資産の評価額を上げる一方で、日本円の購買力を下げるという二面性があります。

退職後の外貨資産比率をどう考えるか

では、5,000万円の資産のうち、外貨資産をどれくらい持つべきか。

一般的な目安として「100マイナス年齢」というルールがあります。

60歳なら、リスク資産(株式・外貨ETF含む)は最大40%が目安です。

さらに、退職後の文脈で外貨資産を持つことにはもう一つ意味があります。

円安・インフレが続く局面では、外貨資産が生活費上昇のオフセットになるという考え方です。

私のケースでは:

  • 総資産:約5,000万円
  • うち外貨資産(QQQなど):現在15〜20%程度
  • 退職後の目標:外貨比率を30〜40%に段階的に引き上げることを検討中

ただし、外貨比率を上げれば上げるほど、円高に転換したときの評価額下落リスクも大きくなります。

どこまで受け入れられるかは、最終的には自分のリスク許容度次第です。

為替ヘッジ付きETFは「解」になるか

「ヘッジありのETFを使えば為替リスクを避けられる」という考え方もあります。

ただ現状では、ヘッジコストが年2〜4%程度かかります。

日米の金利差が縮まりつつあるとはいえ、まだ相当なコストです。

たとえば、米国債ETFの利回りが4%だとしても、ヘッジコストが4%なら実質リターンはほぼゼロになります。

👉 現在の円安局面では、ヘッジなしETFの方が合理的という判断をしています。

日銀がさらに利上げして金利差が縮小すれば、ヘッジコストも下がり状況は変わるかもしれません。

まとめ|円安は「恩恵」と「リスク」の両面を持つ

今回の整理をまとめます。

  • 円安局面では外貨資産の円換算評価額が増える(S&P500下落時の損失緩和も確認済み)
  • 一方で円安は輸入物価を押し上げ、退職後の生活費が想定より膨らむリスクがある
  • 2020年比で物価は約12%上昇。月22万円の生活費試算も見直しが必要かもしれない
  • 退職後の外貨資産比率は「100マイナス年齢ルール」を参考に、30〜40%が一つの目安
  • 現状のヘッジコストを考えると、ヘッジなしETFの方が現実的

正直に言うと、「円安は外貨資産を持っていれば有利」という単純な話ではないと改めて感じました。

資産の評価額が増えても、生活費も増えていたら実質的なメリットは薄れます。

退職後の生活は「円で買い物する」現実から逃げられない。

そのことを念頭に、外貨と円のバランスを少しずつ整えていこうと思っています。

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