4月の給与明細を見て、保険料の欄が少し増えていた。
「あ、これか」と思った。SNSで話題になっていた「独身税」——正式には子ども・子育て支援金だ。4月分の負担額を見てみたら、月12円だった。5月分の給与から徴収が始まると思っていたが、各種奨励金や通信教育補助金などの支給がある月は、4月分から徴収されるとのことだ。
正直、拍子抜けした。え、これだけ。でも「今は12円」というのが重要で、これで終わる話ではないらしい。
5月分の給与明細では、自分の標準報酬月額(34万円)で計算し直すと、月391円の負担になった(34万円 × 0.23% ÷ 2、労使折半の本人負担分)。5月以降はこの金額が続く計算になる。
まず「独身税」という言葉を整理する
SNSで広まった「独身税」という言葉、実はミスリードだ。
正式名称は「子ども・子育て支援金」。2026年4月からスタートした少子化対策の財源で、独身者だけでなく医療保険に加入しているほぼ全員が負担する。子育て世代も払う。
「税金」ではなく「保険料」——この違いが重要だ
ここが、この制度を理解する上で最も重要なポイントだと思っている。
これは「税金」ではなく「保険料」として設計されている。給与から天引きされる健康保険料に上乗せされる形で徴収される。
単なる名称の違いではない。税金と保険料では、変更に必要な手続きがまったく異なる。
税金の税率を変えるには国会での審議と法改正が必要だ。国民の代表である国会議員が議論し、可決されなければ変えられない。
一方、保険料率は審議会や省令レベルで変更できるケースが多く、国会審議を経ずに引き上げることが可能だ。
つまり——政府にとって、保険料は税金より変額しやすい仕組みになっている。
「今は月12円だから大丈夫」と思っていても、国会の審議なしに静かに引き上げられる可能性がある。これが、私がこの制度を「小さな問題」と思えない理由だ。
私の負担額:月391円の計算方法
では実際にいくら払うのか。計算方法を整理しておく。
支援金の負担額は標準報酬月額をもとに決まる。協会けんぽ(中小企業の会社員が多く加入)の場合、2026年度の支援金率は0.23%だ(労使折半後の本人負担分)。
標準報酬月額 × 0.23% = 月の負担額(本人分)
5月以降は標準報酬月額34万円で計算すると月391円(34万円 × 0.23% ÷ 2、労使折半の本人負担分)になる。「え、思ったより少ない」と感じた人も多いと思う。ただしこれは2026年度の金額であり、段階的に引き上げられていく。
2028年度に「満額」になる——そしてその先は?
現時点での支援金は段階的に導入されており、2028年度に満額となる予定だ。満額時の支援金率は協会けんぽで0.82%(本人負担分)とされている。
同じ標準報酬月額で計算し直すと、満額時の負担は現在の約3.6倍になる計算だ。そして問題は2028年以降だ。前述の通り、保険料率は国会審議なしに変更できる。少子化対策の財源が不足すれば、満額後もさらに引き上げられる可能性がある。「満額」はゴールではなく、通過点かもしれない。
おひとりさまとして、どう受け止めるか
正直に言えば、子どもがいない自分が子育て支援のために保険料を払うことへの複雑な気持ちはある。
ただ、少子化が進めば年金・医療・介護といった社会保障制度全体が揺らぐ。支える世代が減れば、老後の給付も細くなる。子育て支援は「他人ごと」ではなく、おひとりさまの老後を守るための投資でもあると理解することにした。
月391円。今はそう割り切っている。ただし——保険料という仕組みである以上、今後の動向には目を光らせておく必要がある。給与明細の保険料欄を、これまで以上に意識して見るようになった。
まとめ・計算方法
「独身税」の正体
- 正式名称は「子ども・子育て支援金」
- 独身者だけでなく医療保険加入者ほぼ全員が対象
- 「税金」ではなく「保険料」→ 国会審議なしに変額できる点に注意
自分の負担額の計算方法
- ① 自分の標準報酬月額を確認する(給与明細または年金定期便で確認可)
- ② 2026年度:標準報酬月額 × 0.23%(協会けんぽ・本人負担分)
- ③ 2028年度(満額):標準報酬月額 × 0.82%(協会けんぽ・本人負担分)
※健保組合・共済組合加入の場合は支援金率が異なります。加入先にご確認ください。
「独身税」はなかった。でも保険料は確かに増えた。そして今後も、静かに増えていくかもしれない。

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