前回の記事では、55歳から60歳退職までの5年間ロードマップを整理しました。
その中で何度か触れてきた退職金800万円について、今回は税金だけを掘り下げてみます。
「退職金には税金がかかる」と漠然と身構えていましたが、実際に計算すると私の場合は非課税でした。
- 自分の退職金にいくら税金がかかるのか知りたい方
- 退職所得控除の計算式を具体的な数字で確認したい方
- 勤続年数や退職金額が違うとどう変わるのか比較したい方
という方の参考になればうれしいです。
前提条件
- 年齢:55歳(退職時60歳を想定)
- 退職前の年収:約500万円
- 勤続年数:30年
- 退職金:800万円
- 独身、愛知県在住
退職所得控除の計算式|勤続20年の壁
退職金の税金を考えるうえで、最初の関門が退職所得控除です。
勤続20年以下は40万円×年数
勤続20年以下の場合、控除額は40万円×勤続年数です(最低80万円)。
勤続20年超は800万円+70万円×(年数-20年)
勤続20年を超えると、計算式が変わります。
800万円+70万円×(勤続年数-20年)
20年を境に、1年あたりの控除単価が40万円から70万円に上がる仕組みです。
私の場合の控除額は1,500万円
勤続30年の私に当てはめると、
800万円+70万円×(30年-20年)=800万円+700万円=1,500万円
控除額は1,500万円になりました。
退職所得の計算|控除後をさらに半分に
控除額が出たら、次は退職所得(課税対象額)の計算です。
(収入-控除)×1/2の計算式
退職所得の金額は、
(収入金額-退職所得控除額)×1/2
で求めます。役員等以外で勤続5年を超えている場合、この1/2ルールが使えます。
私の退職金800万円なら課税対象は0円
私のケースに当てはめると、
(800万円-1,500万円)×1/2=マイナスなので0円
退職金800万円が控除額1,500万円の範囲内に収まるため、課税対象額は0円。所得税・住民税ともにかかりません。
👉 勤続30年で退職金800万円なら、税金は一切かからないという結論です。
申告書を出し忘れると20.42%源泉徴収される
ただし注意点があります。
「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出していないと、この控除計算は適用されず、支払額に一律20.42%が源泉徴収されてしまいます。
800万円なら約163万円が天引きされる計算です。控除内で本来0円のはずが、申告書一枚出し忘れただけで大きく引かれてしまうのは避けたいところです。
確定申告すれば還付を受けられますが、退職の手続きの中で忘れずに提出しておくのが確実です。
勤続年数や退職金額が違うとどうなるか
私と同じ800万円でも、勤続年数が違えば結果は大きく変わります。比較してみます。
勤続15年で同じ800万円なら
勤続15年(20年以下)の場合、控除額は40万円×15年=600万円。
退職所得は(800万円-600万円)×1/2=100万円。
概算の税額は所得税・復興特別所得税・住民税をあわせて約15万円。勤続年数が短いだけで、同じ退職金800万円でも税負担が生まれます。
退職金が2,000万円を超えたら
勤続30年で退職金が2,000万円だった場合、控除額は同じ1,500万円。
退職所得は(2,000万円-1,500万円)×1/2=250万円。
概算の税額は約41万円。控除の範囲を超えると、税金が発生し始めます。
短期退職手当等(勤続5年以下)は1/2ルールが縮小
勤続5年以下の場合、控除後の金額のうち300万円を超える部分は1/2課税が適用されません(短期退職手当等のルール)。
仮に勤続5年で退職金800万円の場合、控除額は40万円×5年=200万円。控除後の600万円のうち300万円は1/2扱い、残り300万円は全額課税となり、概算税額は約93万円にのぼります。
同じ800万円の退職金でも、勤続年数次第で税額は0円から90万円超まで変わります。
まとめ|退職金800万円は勤続30年なら非課税
- 退職所得控除は勤続20年を境に単価が40万円→70万円に上がる
- 勤続30年なら控除額は1,500万円
- 退職金800万円は控除内に収まり課税対象額は0円
- 「退職所得の受給に関する申告書」の提出を忘れると20.42%源泉徴収されるので要注意
- 勤続年数が短い、または退職金額が控除を超えると税負担が発生する
正直に言うと、退職金にも重い税金がかかるものだと思い込んでいました。実際に計算式に当てはめてみると、勤続年数の長さがそのまま非課税の余地になっていたのが本音の驚きでした。
退職金の使い道や出口戦略については、iDeCo・NISAの出口戦略や60歳退職の資産設計の記事もあわせて参考にしてみてください。


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